患者さんは、38歳の女性。
1ケ月前に出産し、幸せいっぱいのはずなのに・・
おっぱいをあげようとすると右の乳房が痛みます。
出産後体調がおもわしくない。「なんとなくお腹が痛い」
それ以外にも身体の不調が、吐き気や息切れ、微熱も続く・・。
おりものにも少し血がまざっています。
産婦人科では、鉄分の錠剤をもらって飲んでます。
夜中に2時間おきの授乳で眠れず、夜中に毎日アイスを食べてます。
また、無神経の夫に、よく八つ当たりをします。
近くに義理の母が訪ねてきてくれるも、プレッシャ-
出産後1ケ月もたたないのに、性交渉がありました。
下痢が続き、夫も多少下痢をするようになりました。
自分のことなど誰も理解してくれないと思ってたところに
お腹の痛みも強くなってきました。
出産前の様子は、出産2週間前にマタニティ教室に行ったとき、
みぞおちに違和感が・・
それに、妊娠中から、お腹の痛み、おしっこも近かった。
それを伝えたら薬をもらい、症状は治まりました。
出産は自宅で破水してしまい、病院ではなかなか生まれず
1日かかりました。
姑のプレッシャーもありストレスがたまっているから?
それとも夫のせい?
さて、その病気とは・・・
ドクターG 亀田ファミリークリニック館山
岡田唯男院長が診断のアドバイス。
●第1回カンファレンス
研修医A 卵巣出血
排卵時の出血が通常より多くなります。
研修医B 感染症腸炎
細菌やウィルスが腸に感染し、下痢や熱が発症します
夫も下痢をしていて、熱もあるので。
研修医C 不定愁訴
はっきしない産後のうつ病。1ケ月以降に起こることが多い。
ベイビーブルースともいいます。
その他、子宮内感染症、卵巣炎、卵管炎、会陰切開なども疑えます。
●第2回カンファレンス
研修医B 虫垂炎
へその痛み、吐き気、熱が上がった 痛みの場所が右下腹部
研修医A 研修医C 骨盤内炎症性疾患
主に性交渉により炎症を起こします。
●最終診断
45日前 心窩部の違和感
40日前 腹痛と膀胱炎で抗生剤をもらい10日飲む
35日前 右季助部の痛みも治まる
3日前 それが再発した
最終診断は虫垂炎でした。
虫垂炎は通常、おへそと骨盤を結ぶ線上にあるのですが、
妊娠すると子宮がおおきくなるため、右季助部(右おっぱいの下)
まであがってしまいます。
そして出産後は元の位置に戻ります。
そのため痛みの場所も特定できず診断の難しいケースでした。
患者さんは、その後手術によって完治したそうです。